歴民研活動報告
このブログでは京都学園大学「歴史民俗研究会」の活動を紹介しています
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DATE: 2009/09/08(火)   CATEGORY: 活動日誌
アチックフォーラム京都・あやべ吉水に参加しました
9月7日、綾部市奥上林地区の「あやべ吉水」で行われたアチックフォーラムに参加した。この催しは、民族文化映像研究所(以下民映研)が制作した記録映画『新編粥川風土記』の上映と、同研究所所長の姫田忠義さんと参加者との懇談である。
yoshimizu1.jpgこちらがあやべ吉水。国道27号線から府道1号線に入った奥にある。茅葺き屋根が特徴の「ちょっと前の日本のくらし宿」である。庭には小さな水車もある。
フォーラム開始より早めに着いたので民映研の姫田さんにご挨拶。私が制作した保津川筏復活プロジェクトの映像をお見せして、編集・聞き取りのアドバイスをいただいた。
姫田さんはかつて民俗学者宮本常一に師事していたという。1976年に民映研を設立し、徹底したフィールドワークを基礎としながら記録映画の制作を行ってきた。海外の研究者からは「映像人類学」と捉えられている。

『新編粥川風土記』は岐阜県郡上市美並町高砂の1年を通した人々の活動を記録したドキュメンタリーである。その中には、保津川筏復活プロジェクトが目指している筏流しやキンマの再現も記録されていた。
かの地での民俗事象で特に面白いと思ったのがうなぎ信仰。星宮神社の縁起によれば、かつて瓢ヶ岳の鬼を退治するためにうなぎと虚空蔵菩薩の力を借りたということでこの神社に奉られ、人々はうなぎ食べないという。粥川には天然のうなぎが生息しているが、うなぎは水の汚れを嫌うため、水の汚れは山の汚れ、人の心の汚れを映している。作品の中で幾度も映し出される粥川の水は清々しい。

上映会後は姫田さんとの懇談。姫田さんが記録映画の中で提唱している「基層文化」というのは「日本の庶民の生活」だという。しかしこの言葉は日本では馴染みがなく、ヨーロッパ圏のサブストロタームあるいはサブストロテューム(=非支配者文化)に近いという。例えば、概念でもっても表現できない幼い子どもの素直な表情が人間同士の共感であり、それを伝えるために姫田さん映像を撮り続けている。また基層文化にはこれまでの日本人の行為(戦争・差別)に対する反省も含んでいるという。
宮本常一との思い出を姫田さんはこう語る。「宮本さんは文章で記録、私は映像で記録という方法を選んだ」。人間の持つ素直な表情は、いかなる文章であっても表現できないであろうということ。この基層文化という概念の中に、民俗学者渋澤敬三、宮本常一の「常民」を見出すことができる。

このフォーラムに参加している人々の仕事を聞くと、自然との関わりを持つ職の人が多い。上林地区で生まれ育った人、陶芸を学ぶ外国人、家族で炭焼きをしている人、かつてキンマを引いて生活の足しにしていた人。私のように自然との関わりに嫌気がさして都市に出る若者も多い中で、あの作品と、姫田さんの方法論に何か見出せないかと考えている。

つちのこ亭幸乃鳥
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