歴民研活動報告
このブログでは京都学園大学「歴史民俗研究会」の活動を紹介しています
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DATE: 2011/05/06(金)   CATEGORY: 活動日誌
千本ゑんま堂狂言フィールドワーク
この場では初めまして。
歴史民俗学研究会メンバーT山です。
5月4日に行われた、千本ゑんま堂(引接寺)大念仏狂言にフィールドワークに行きましたので、報告、というよりも感想を述べていきたいと思います。

今回は1回生も含め、総勢10名で臨みました。
予想以上の参加率に嬉しい悲鳴をあげたわけなのですが、私を含めた内3名は4月10日に嵯峨嵐山清涼寺で行われた嵯野大念仏狂言を見ていたため、二度目の狂言観劇となりました。他の方は、狂言を見ること自体初めてであったり、テレビでは見たことはあっても生で見るのは初めてということで、非常に新鮮な思いで臨んでいただけたかと思います。

会場は千本ゑんま堂引接寺にある舞台で行われました。
千本ゑんま堂は上京区にある閻魔様を本尊としたお寺で、近くには北野天満宮や平野社、今宮社などがあります。
ここで行われる大念仏狂言は、京都において壬生狂言、嵯峨狂言と並び三大狂言(神泉苑で行われる大念仏狂言も含め四大狂言と称されることも)と呼ばれるもので、狂言のプロが行うのではなく、庶民(古くは農民)が行う元々の猿楽、田楽の流れを非常に色濃く残すものであります。
現存資料では1561~1563年頃の京の景観を描いた狩野永徳筆の上杉家蔵『洛中洛外図』屏風の一部に、最古の狂言図として描かれているほど歴史のあるものであるそうです。(『千本ゑんま堂狂言』千本ゑんま堂狂言保存会発行冊子)

千本ゑんま堂では、2月、4月、5月に公演が行われ、特に5月はメインとなり、1~4日にかけて毎日公演が行われます。
私たちが観たのは、4日の昼の部で行われた以下の6つの演目です。

1 えんま庁
2 悪太郎
3 末広
4 伯母ヶ酒
5 芋汁
6 土ぐも

大念仏狂言の大きな特徴として、無言劇であることが挙げられます。嵯峨大念仏狂言では、「餓鬼地蔵」という演目以外、セリフは一切なく、動作とお囃子のみで劇が進められます。
しかし、その中でもゑんま堂狂言は、セリフのある大念仏狂言であることで知られています。
無言劇であるのは、「えんま庁」「芋汁」などだけです。それ以外はセリフがあります。

すべてを非常に面白く感じ、おおいに笑わせていただいたのですが、ここでは個人的に面白く感じた「えんま庁」「伯母ヶ酒」「土ぐも」について記します。

「えんま庁」
公演期間中、必ず最初に演じられる無言劇なのだそうです。

鬼が鉄杖を持って登場し、閻魔法王と帳付(記録係)を迎えます。
そして鬼は縛った亡者を引き連れて再登場し、亡者を座らせて色々といじめて喜びます。
ですが、鬼は亡者の持った巻物の不思議な力に、逆に負かされてしまいます。そこで鬼は、亡者から無理矢理に巻物を取り上げ、帳付に差し出します。
鬼から巻物を受け取った帳付は、内容を読んで亡者が善人であることを知ります。そこで閻魔法王に許しをもらい、「閻魔帳」にそのことを書き留め、逆に亡者を解放して鬼を懲らしめ、縛り上げて亡者に番をする様に言いつけ、閻魔法王と共に退場します。
最初は大人しくしていた鬼でしたが、閻魔法王や帳付が去ったと知ると急に強くなり、また亡者をいじめようとしますが、やはり巻物の力には叶いません。そこで鬼は、亡者から巻物を受け取る代わりに、亡者を背負って極楽へと案内して行きます。
(『千本ゑんま堂狂言』千本ゑんま堂狂言保存会発行冊子1頁)

最初に鬼が亡者を苛めるさまが非常に観ていて滑稽でした。
亡者の頭をもってグリングリン回して大笑いしている様子が、観ていてこちらまで楽しくなるようでした。
基本的に演者は男性のみなのですが、この無言劇の時のお囃子には女性もいました。
嵯峨大念仏狂言とは、やはりというべきか所作に違いがあり、その点に注意をして観ていたのですが、ここでは詳しくは触れません。
機会があれば、嵯峨大念仏狂言とゑんま堂狂言の比較をレポートしたいと思います。

「伯母ヶ酒」
酒の大好きな五兵衛は酒屋の伯母の家を訪ね、何とか酒をただ飲みしようと色々試みますが、伯母は飲ませてくれそうにありません。
そこで五兵衛は、辺りに鬼が出ると嘘をついて伯母を怖がらせます。それから鬼の面をつけ、自ら鬼になりすまし、伯母を脅して酒を飲む事に成功しますが、酔っぱらって寝てしまったところを伯母に正体を見られ、箒で老い叩かれます。
(『千本ゑんま堂狂言』千本ゑんま堂狂言保存会発行冊子11頁に加筆)

これは、面の上から面をつける珍しいもので、鬼に扮した五兵衛が「見るなよ、見るなよ。見たらワニワニじゃぞや」といって伯母を脅します。
「ワニワニ」って何っ!?って思いながら観ていたのですが、実際に伯母も「ワニワニって何ぞ」といったので、そこで大笑いしてしまいました。
ここでの女性の所作、男性の所作、演じ方といってもいいかもしれませんが、それと描かれ方に個人的に興味を抱きました。

「土ぐも」
病に伏せる主君・源頼光(みなもとのらいこう)を、家来の渡辺綱(わたなべのつな)・平井保昌(ひらいほうしょう)が見舞います。日増しに衰弱して行く頼光の病気は、実は土蜘蛛の魔力によるものだったのです。
綱、保昌が下がったあと、僧に身を変えた土ぐもが現われ頼光に襲いかかります。頼光は名刀「膝丸」で蜘蛛と戦いますが、もう少しのところで取り逃がしてしまいます。 
騒ぎを聞き、駆けつけた綱、保昌の二人は、床に落ちた蜘蛛の血をたどって土蜘蛛を見つけ出し、勇敢に戦います。 
この狂言でまかれる蜘蛛の巣の一部を持って帰ると、災難や盗難よけになると言い伝えられ、おめでたいとして、大変人気のある狂言です。
(『千本ゑんま堂狂言』千本ゑんま堂狂言保存会発行冊子20頁)

本当はデジカメで撮った映像をアップしようかと思ったのですが、いまいち上手くいかなかったため、またの機会にします。
人気の演目のひとつであり、土蜘蛛と武士たちの大立ち回りは非常に見どころであります。
土蜘蛛がパァーっと糸を投げる場面では、会場から感嘆の声が上がりました。
ちなみに我らが部長殿は、ばっちり蜘蛛の糸を入手致しました。
すごいですね!

総じて、個人的に興味、疑問を持った点は次の通りです。

・男女の演じ方、描かれ方の違い
・身分階層(武士、僧、庶民等)の演じ方、描かれ方の違い
・人と人でないものの描かれ方
・演じ手がそのようなものを伝えようとし、観劇者はどのように受け取っているのか
・大念仏狂言の歴史やその影響
・演じては、面をどのように捉えて使用しているのか

今後、以上のことを調べていこうかと思っています。

歴民研ブログにあげる文章が本当にこんな感想文でいいのか、はなはだ疑問ではありますが、今回はこの辺までにしておきます。



千本ゑんま堂引接寺、ゑんま堂狂言について詳しく知りたい方は以下の公式サイトをご覧ください。

千本ゑんま堂引接寺HP
http://yenmado.jp/
ゑんま堂狂言保存会HP
http://www.geocities.jp/e_kyogen/
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